




静まり返った心象風景、生き物の温もり、謎めいた暗号の羅列、諦念にも似た穏やかさ。時間も空間もねじれて、破れ目から際限なく突き出していくナラティブを操る、マーサ・ナカムラさんの第一詩集です。
此岸も異界も地上も観念も構わずに美しくスライドしていくその様は、目にしてしまった少しの後ろめたさとともに奥深い快楽をもたらします。
「瞬く星と瞬かない星があるだろう。あれは、生まれる前の子どもたちが、代わる代わるに覗いているために瞬くのだが、瞬かなくなった星は、誰かの子どもになってなりたくて、まばたきもせず見つめている子どもがいるのだーー」
発行:思潮社
発行年:2017年
サイズ:四六判
ページ:106p