写真は気配を写すことができるのだな、と思わずにはいられません。
ここにいた人の不在がこんなにも明らかに存在している、そのことを、写し撮った写真ではないかと思います。
亡き祖母が暮らしていた家で撮影されたこの写真集は、生前の祖母のまなざしと、亡き祖母のまなざし、そして自身のまなざしが重なり、まるで静かに対話が交わされているようです。
そこには、電気コードを束ねた指の、階段を登った脚の、ゆっくり椅子をひいた腕のぬくもりがよみがえる、懐かしく淋しい光があふれています。
「ーーだからきっと、
僕らはいつだって、話を聞いてもらいたい。
だからきっとこの光は、
独りには
あまりにも淋しい色をしている。」
発行:赤々舎
発行年:2021年
サイズ:261 × 216 mm
ページ:152p
*ポストカード付き