






金沢21世紀美術館でのミヒャエル・ボレマンスとの2人展で大きな印象を残したアーティスト、マーク・マンダース。東京都現代美術館での個展に合わせ、待望の作品集が刊行されました。
「建物としての自画像」という構想に沿ってつくられた、独特の時空間を取り込んだ彫刻やオブジェ、言葉によって、大きな建物の形をとった架空の人物「マーク・マンダース」を構築しています。
今にも崩れそうな脆い質感や粘土の艶。長い年月によって風化したようでもあり、まだ未完の状態でもあるように見えるその脆弱さは、ここにはいない作家の存在と痕跡をいっそう強く感じさせます。
時間が凍結したような静寂さのなかに立ち込めるうつくしい憂いと巨大なエネルギーに魅せられる作品群。
「自身の不在は、テーブルの下で確かめられる。人生は、自分抜きでも滞りなく捗ると気づけば、強く心を打たれる。そこから、人格には限りのあることが明らかになる。マーク・マンダースは1986年以降、自画像の中に住み続けてきたーー」
展示風景撮影:今井智己
発行:HeHe
発行年:2021年
サイズ:B5判変形
ページ:216p