




昭和10年生まれの俳人は、人生も句歴も長いものであるにかかわらず、何とも軽やかに、季節と昼夜、世界、死を詠みあげます。
観念の「森」こそ、自らの安息の場であり再生のよすがだと話す宇多さんの句は、しっとりとやさしい森の匂いが立ち込めています。伝統や前衛を超えて森羅万象をまなざす、はるか深い造詣がきらめく一冊です。
終わりなき戦に梟を送り込む
新聞が新聞紙になる春の夜
花の下ひとときという大事かな
森の匂い書庫の匂いに似て晩夏
発行:青磁社
発行年:2018年
サイズ:四六判変型
ページ:184p