





これまで批評・研究の分野で取り上げられることがなかった、けれどもいちばん身近なものづくりである「手芸」。
インドの骨董品店でたびたび、「日本人は、染めや織りだとふっかけた値段でも購入するのに、刺繍やアップリケなどは高いと言って値切るのか」と聞かれた経験が、手芸とは何か、手芸とそうでないものの境界には何があるのか、を考えるはじまりになったという著者。
また、研究者の山崎明子さんは、「手芸」はつくり手のジェンダーによって「美術」や「工芸」という社会の制度から二重の意味で疎外されていると指摘します。
「つくること」に与えられる社会的意味、伝えられる知識と伝えられない知識、工芸と手芸の仕分け、商品化する手芸…
さまざまな視点から手芸的なるものの輪郭を探り、ものづくりの意味を問い直す、はじめての手芸論です。
発行:フィルムアート社
発行年:2020年
サイズ:四六判
ページ:312p