






ふれる、ふりむく、なく、わすれる、きく…
22の動詞で日常を綴る、作家・石田千さんのエッセイ集。
掴もうとしてもつかまえられないその言葉たちは、微かにざわめくこころ、どこか寂しげな日常をやさしくひっぱり、からだを連れ出していきます。
あんなに深くいたんでいた傷ももうすぐ治るでしょう。
冷たく澄んだ冬の空気のような石田さんのことばが心地よく染み込みます。
「傷がかわき、かさぶたになって、痛みがかゆみになって、かさぶたがはがれる。新しいしろい皮膚は、まだ透けている。けれども、もう熱はひいてしまった。ゆっくり歩いてみる。だんだん痛くなくなっていく。ころんだ瞬間が、遠くなる。泣かない日が、増えていく。」(はしる)
発行:白水社
発行年:2016年
サイズ:四六判
ページ:222p