







スイスの建築家、ペーター・ツムトア(ペーター・ズンドーとも呼ばれます)は、素材や土地が持つエネルギー、光と影の設計にとりくみ、詩的で情感あふれる建築空間を生み出してきました。
モーツァルトのピアノ・コンツェルト
ウィリアム・カルロス・ウィリアムズの詩
イタロ・カルヴィーノの文学講義
アキ・カウリスマキの映画
谷崎潤一郎の陰翳礼讃…
広範囲におよぶ引用とともに綴られるひそやかなエッセイは、建築の総合力を感じずにはいられません。
彼の建築の佇まいと呼応するような、詩的で硬質なセンテンスが幾度も胸を打ちます。
「建築は人間の生ととりわけ身体的に結ばれている。
思うに、建築はまずもってメッセージでもなければサインでもないのだ。そこで営まれる生を包む殻であり、背景である。
床をすすむ歩みのリズムのため、仕事に集中するため、眠りの静けさのための、繊細な容器なのだ。」
写真:杉本博司
ブックデザイン:葛西薫
発行:みすず書房
発行年:2012年
サイズ:A5変型判
ページ:120p