宮城県を拠点に活動する写真家・志賀理江子さん。
2009年にタイのバンコクでバイクの2人乗りで疾走する恋人たちを撮影したこの写真集の製作は、Blindという言葉(こと)について模索する作業でもありました。
強いまなざし、虚ろなまなざし、潤んだまなざし。
ページの中心にある彼女たちの目は、こちらを見つめているようでもあり、通り越して別の何かを見ているようでもあり、あるいは何も見えていないようでもあります。
おさめられたいくつもの視線は、人が何を見ていて、そして見えていないのか、自分には何が見えているのかを問いかけているようです。
バンコクの熱く湿った空気で電話帳をめくるようなイメージをかたちにしたという造本。ぐにゃぐにゃと波打ち、揺らめく感情の様がページをめくる手にしなやかに伝わってきます。
発行:T&M Projects
発行年:2017年
サイズ:375x257mm(特製箱入り)
ページ:100p