山の木で最も強度があり、水にも強い〈しなのき〉。
かつては、薪を縛る縄からケラ(雨具)にまで幅広く使われており、山深い産地で厳しい冬期間の貴重な収入源として、その技術は連綿と受け継がれてきました。
この冊子は、山の生業としなのきに魅了された作者が、しなのきから布を織る「しな機」が今でも使われている山形県関川地区を訪ね、山での暮らし、人々にとってしなのきがどんな存在であったかを聞き取ったものです。
暗い歴史的背景や郷愁ばかりではなく、山の生業に対する誇りとひたむきな愛情を感じる一冊です。
造本には、岩手の山で採取した、しなのきの糸が結ばれています。
発行年:2020年
サイズ:400×298mm(二つ折り)
ページ:16p