「生きることの重みを感じる時、私はいつもあの黄昏時の耦園を思い出すーー」
桃源郷伝説の元となった「桃花源記」の中で主人公は、夢のような時間を過ごした場所を皆にも知らせるために、道標をつけながら村に帰ったものの二度とその場所を見つけることはできませんでした。本作は、写真家の富澤大輔さんが、「この世の天国」と称される中国・蘇州の庭園の断片を写した作品集です。何百年も前に理想郷に憧れ、現世に仙郷を再現するために築かれた庭園の中では、時間や記憶が曖昧に交錯する。まるで夢の中を歩いているような光線と朧げな輪郭が、もう一度辿り着きたい記憶を静かに浮かび上がらせます。理想を外に追い求めたために見失った桃源郷を自己の内側へと投影するような、内省と幻想の美しい作品群。
蘇州出身の作家、薛晓诞氏による書き下ろしエッセイ『私と庭園』を収録。
発行:南方書局
発行年:2026年
サイズ:297×203 mm
ページ:76p