かつて祖父母が暮らしていた家をアトリエとしている作者が、押し入れから100冊を超える家族アルバムを見つけた、その出来事が本作の起因となっている。各シーンに写っていた人物は淡く輝く光に置き換えられ、日常的な場面に幻想的な質感をもたらしている。発光が固有性をゆるやかに溶かし、「誰か」でありながら鑑賞者の「個」とも共鳴していく。家族という枠組みの中に集積される自己、継承されてきた奇跡的とも言える生命の連続性。心に留まり続けているその揺らぎのなかで、「個」という存在について改めて問いかけ、失われつつある「家族アルバム」という個人的なアーカイブを、誰もが共有可能なイメージへと変換していく。
亡き祖母との対話として花を捉えた「flowers」、都市の窓を通して見知らぬ他者の気配を写した「windows」に続く、三部作の完結編。
発行:赤々舎
発行年:2026年
サイズ:300×256 mm
ページ:106p