「はじめは、地上に光がなかった。大地も見えず、生き物の姿も見えず、すべてが闇に包まれていたのだーー」 人間と動物に区別がなく、同じ言葉を話していた時代の記憶を、幾年も語り継いできた極北の狩猟民たち。世界のはじまり、最初の人間、光と闇、思慮深い動物たち、精霊や魂。彼らの物語には、混沌とした世界を人間的な領域への還元しようとするいにしえの人びとの息遣いが宿っています。そこにはあらゆる自然や生き物、精霊や魂が人びとともに在り、生や死の存在、語られざる歴史が秘められている。20世紀初頭に活躍したデンマークの探検家・人類学者、クヌート・ラスムッセンが採録したエスキモーの伝承や歌、魔法の言葉などを中心に、八木清さんが写真とともに編んだアンソロジー。 発行：閑人堂 発行年：2024年 サイズ：A5判変型 ページ：112P