









つかまえたら はなすんじゃないぞ
みつけたら なくすんじゃないぞ
それは 欲望うごめく
いのちの暗闇なのだから
映画も映画館もない世界。旅をしていた青年は、森の中で「映画館」と呼ばれる謎めいた洋館と、そこで働く初老の男に出会います。真っ白なスクリーン、宇宙のような暗闇、誰も知らない100本の奇妙な映画たち。男が毎日地下のフィルム倉庫から選び、上映する映画を観ながら、青年は映画や映画館というものを少しずつ体験していきます。映画を観るという行為のなかで培われる豊かさと、稀有な時間の経過、すべてを包みこんでくれる特別な暗闇のこと。
25年に渡り都内の名画座で支配人を務めてきた著者の、映画と映画館に対する恩返しがしたいという想いでつくられた物語。映画館という、ロマンティックで心踊る空間の記憶が大切につづられています。私たちが主人公の青年といっしょに観る映画は7本ですが、巻末には100本の架空の映画のデータが掲載されています。
発行:ぶくぶっくす
発行年:2024年
サイズ:A5判
ページ:248P