夢や幻想の世界に踏み込んだ作品を描いたフランスの象徴主義の画家、オディロン・ルドン。モノクロの版画による目玉や蜘蛛、人間の顔を具えた植物などのモチーフは、絶望とユーモアが混在し忘れがたいイメージをもたらします。ルドンが鮮やかな色彩を用いるようになったのは50歳を過ぎてからのこと。色彩表現に優れた作品は、パステルの柔らかさとあふれ出す鮮烈なカラーが限りなく美しい。少年の日の記憶、普仏戦争での体験、ブレダンとの出会い、好きだった音楽、画家たちの作品のこと。幻想の画家の50年に及ぶ自分自身との対話が記録された類稀な書。
発行:みすず書房
発行年:2024年
サイズ:A5判
ページ:248P