庭師であり美学研究者でもあるというユニークなバックグラウンドを持つ著者の山内朋樹さん。京都福知山の観音寺を訪ね、その大聖院庭園の作庭現場のフィールドワークから庭の造形や生態を観察し、その成り立ちを記述しています。石と石、植栽と空間が的確な関係性を持ち、あるべき場所へ配置されていく様子はさながらモノ派の作品のよう。庭だけでなく、私たちの暮らしのなかのさまざまな視線をも変える、庭園の詩学と庭師の知恵がふんだんに綴られています。これまで見えていなかった庭の見方がひとつ増える、新感覚の庭園論。
「ーーあとから据えられた石組が地形の力学を、あとから剪定された植栽が山の植物を、ようするに、あとからつくられた庭が「もとの状態」としての自然を現出させるという狂った事態である。」
発行:フィルムアート社
発行年:2023年
サイズ:四六判
ページ:384p