






生きて暮らすことのざらざらと険しい手触りと懐かしいぬくもり。それから閃光ように鮮やかなシーン。この世からいなくなるときに思い出すのは、こんなひとつひとつの小さな心の揺らめきなのかもしれません。日々の風景と心の機微を写しとった、スケッチのように深く軽やかな384首。「風にあたる」から4年、待望の第二歌集です。
笑ったら泣きそうになる起き抜けに懐かしいけど生きるしかない
薄闇にくずれつづけるのが海よいま息継ぎを終える灯台
曇り日は光とぼしい長回し生きるほかには賭けごとをせず
さびしさがこときれるのを待ちながら川の写真はきみから届く
発行:短歌研究社
発行年:2023年
サイズ:四六判変形
ページ:152p