「アノスミア」とは、においを感じない嗅覚脱失状態のこと。かつてシェフを志望していた著者は、交通事故で大けがを負い、嗅覚を失ってしまいます。
食べ物の味がしない、周囲に異変があっても気が付かない、他者への関心が薄くなる、記憶があやふやになる…。 突然モノクロームに変わってしまった生活。絶望の中をさまよいながらも、見えない障害と向き合い、回復へと向かう日々を当事者の立場から綴っています。 嗅覚によって享受しているものは、私たちが自覚しているよりもずっと大きく、いちど分断された嗅覚の回復過程も困難を極める。未解明な「におい」の不思議を、身体の再生をとおして描いた気鋭のノンフィクション。
発行:勁草書房
発行年:2013年
サイズ:四六判
ページ:344p