




著者のホームタウンである大阪を舞台に描かれた、悲哀に満ちた3人のストーリー。表現者としての欲求と、生活者としての欲求。この両立し難いアンビバレントな欲求を描く大嶋宏和さんの漫画の登場人物たちは、どうにもならないやるせなさ、空回りする現実を抱えて、今にもつぶれてしまいそう。けれども最後には前に進む者が確かにいる、その微かに見える未来への期待が、物語を愛しいものにしています。
読後、なんとも言えない余韻が広がる漫画叙事詩。
発行:LLCインセクツ
発行年:2022年
サイズ:B6判
ページ:128p