





今日のメディアテクノロジーは、世界中の出来事をほとんどリアルタイムで次々と見ることができるようになりました。その膨大な情報の中で、私たちはそれらをほんとうに現実として「見る」ことができているのでしょうか。
本書は、東日本大震災を記録した3組の作家たちの実践を通じながら、「中動態」という概念を手掛かりに他者と共に生きる可能性を探ります。
きっかけはとてつもなく巨大で悲しい出来事で、だから安易に、良かった、と言うことはできなくても、そこから私たちはたくさんのことを知り、学んだ。そうでなければ変わることができなかったものが変わった。
それぞれの作家たちの生成変化の記録にとどまらず、こんなにも丁寧に思考し、真摯に寄り添い、導いてくれるような論考は他にあったでしょうか。未だに着地点を探して浮遊している私たちの心を繋ぎとめてくれる、新境地の映像メディア論。すばらしい一冊です。
発行:堀之内出版
発行年:2022年
サイズ:四六判
ページ:374p