



生活のなかの些細な瞬間がずっと脳裏から離れないことがある。ふとした時にいつかのシーンがよみがえることがある。忙しなさに押し込めてしまっていたひとつひとつの小さな心の揺らめきをいま目の前にして、他者や街、季節へのまなざしのことを思い出します。
優しくたおやかな346首。山階基さんの第一歌集です。
ねむるとは取り戻すこと目覚めたら抱えたものが花かもしれず
あきらめてからのほうがずっと長い揺らしてはいけない箱を置く
できたてを舌にのせても熱くない木のスプーンを目標とする
東京に生まれ育ってみたかったぼくを寝かせてそれからねむる
発行:短歌研究社
発行年:2019年
サイズ:四六判変形
ページ:152p