日常を離れひとり過ごす浜辺の生活の中で、さまざまなかたちをした貝殻になぞらえながら自己の内面の在り方を見つめたエッセイ。著者のアン・モロウ・リンドバーグは、飛行家であり作家でもありました。
「断続的であること、これを人間が自分のものにすることは非常に難しい。我々の生活が引き潮になっている時に、それをどうすれば生き抜くことができるだろうか。
ーー波一つ立たない引き潮の時には、我々が、普通は知らずにいる、或る別な世界が現われる。我々はこの待機の瞬間に、海の底の世界を覗く機会を与えられる。」
経験と知性に裏づけされた普遍的な深い考察。
絶えず優しい波音が聞こえてくるような美しく逞しい思考の書です。
発行:新潮社
発行年:1967年
サイズ:文庫版
ページ:131p