





多くの地名が散りばめられた栗原さんの詩。
タイトルである「吉田」も地名です。
土地固有のイメージと、彼の持つ焦燥、諦念、疎外、哀しみ、記憶、が地層のように重なり、醸す、ふしぎな気配。
ひたひたと迫りくる冷たい孤独と静かに対峙する著者の姿が目に浮かぶ、寂しく美しい詩集です。
受話器の
向こう の
冷えている夜
海をこえて?
ひとりで?
ええ ひとりで
(琉島記)
1990年に刊行された本書は、2009年に再刊され、2019年に新たな版で再々刊されました。
発行:七月堂
発行年:2019年
サイズ:A5判
ページ:79p