







SOLD OUT
「最初の頃、私は時々、道に伝言を残した。」
地球上にただ一人取り残された女性ケイト。
正気を失った彼女は、浜辺の家に暮らしながら、日々の出来事をタイプライターで書き続けます。家族と暮らしていた過去のこと、美術館を訪ねて旅したこと、日が沈むのを車から眺めたこと。
支離滅裂な短いセンテンスでコラージュされていく日常、記憶、空想。その合間に散りばめられた美術作品や音楽、作家、哲学者たちのイメージ。知的断片のカオスと危うく美しい情感に満ちた、みごとな怪作です。
彼女が暮らす終末世界は、ずっと孤独で絶望的であるのに、意外にもきらめいて見えます。
「ある種の孤独は別の孤独とは異なる。
最後に結論するのはそれだけのことだ。」
発行:国書刊行会
発行年:2020年
サイズ:四六判変型
ページ:328p