





詩人・斉藤倫さんによる詩のアンソロジーであるこの本は、同時に、おとなの「ぼく」と少年の「きみ」が詩を読みながら言葉について対話を重ねていく物語でもあります。
時間が流れる音のこと、こころができること、言葉になる前のこと、言葉にしようとした後のこと、そのままだと消えてしまうもののこと。
言葉でしか触れることのできない領域にスルリと分け入り、読み終わると、大切なものを手渡された時のように、あたたかく、けれど少し緊張するような気持ちで胸がいっぱいになります。
「ひとが、もじをつくったのも、こころや、できごとを、のこそうとしたからなんだ。そのおもいが、じぶんといっしょに、ほろびてしまわないように」
「そうして、そのもじを、もののように、たしかに、ふれられるものにしようとして、本ができたんだ」
画:高野文子
発行:福音館書店
発行年:2019年
サイズ:200×140mm
ページ:160P