美術家・飯川雄大さんが取り組む「デコレータークラブ」シリーズは、認識と現実の間にあるズレを可視化し、見過ごされてきた存在に注目するプロジェクトとして知られます。忘れもののように見える重すぎるスポーツバッグ、巨大さゆえに常に全貌を把握できない猫の彫刻、ハンドルを回すとロープが動き、空間のどこかで生まれる新たな事象…。 本書は、一筋縄では行かない作品をめぐって編まれた、その思考や制作プロセスを探る初の作品集です。後半は、せんだいメディアテークとともに公共空間での展示を目指し、一旦断念に至った経緯が実践録として収められています。美術の制度について、アートプロジェクトの在り方について、問いを投げかける一冊。 発行：赤々舎 発行年：2024年 サイズ：3032×25 mm ページ：218p