








詩人・建築家として活躍し、24歳という若さで急逝した立原道造さんによる紀行文集。1938年、岩手県盛岡市に滞在中の記録を綴ったテキストに、同市出身の画家・深沢紅子さんの絵が添えられています。
盛岡の街並みや美しい自然とともに、恋人への想いと逃れられない孤独がにじみます。短くも濃密な人生を駆け抜けたひとりの青年の、澄んだまなざしと感受性豊かな心、85年前の盛岡の情景に出会える貴重な一冊。
絶えず死を身近に感じていたのかもしれません。透きとおるように儚い文章は、あたたかいのに切なく、読むたびに胸を締め付けます。
1978年に初版、2007年に再版されたものの長らく絶版となっていた本書が、このたび増刷されました。
僕は いま 落ちてゆくのではなかろうか
僕はきずき得たものを みな また
水の泡のように失ないはしなかったか
きずき得なかったまえとおなじく
発行年:2023年
サイズ:160mm × 120mm(スリーブケース入)
ページ:97p