本やスマホ、土地、家、お金を自分のモノとして持つこと、そして、衣食住や資本主義の原点である「所有」。
現代ではサブスクやシェアがあるのに、私たちは所有せずにはいられません。本書は「所有とは何か」という問いをめぐり、研究会を重ねて編まれた論文集です。
戦後沖縄の社会変動と所有権の再編、タンザニアのインフォーマル経済における所有と贈与、所有財産としての農業システム…。経済学や社会学、文化人類学などの知見をもとに、6名が論考を寄せています。本来、人間の生存と自由を守るために生まれた「所有」がなぜ、富の偏在をもたらし、人びとに不自由と分断をもたらしているのか。人間の本性に根差す所有を入口に、人間の存在の本質へと迫ります。内容は専門的であるものの、多様な問題を思いめぐらす種となる一冊。
発行:中央公論新社
発行年:2023年
サイズ:四六判
ページ:384p