






まるで理解されることを拒むようにさんざん迂回を繰り返した先にたどり着いた場所はけっきょくもといたところと同じで、そんな入り方をしてくる言葉です。
思い出や夢、日常の風景に通奏低音として流れ続けている深い喪失感と巨大な哀しみ。忘れようとしていた過去や、せっかく隠していた想いに簡単に触れてくる。言葉でしか近寄れないと知っているその場所に。
ーーぼくたちはいつも、離れる力で衝突大破をくり返す、さまよう広がり、ひびわれの砂だ、ミューゼスの海だ。
国語の先生でもある詩人、井戸川射子さんの第一詩集。
山を想わせる美しい装画は作者によるものです。
発行:青土社
発行年:2019年
サイズ:四六判
ページ:43p