





俳句ができることの拡張のために俳句を書いている、と語る俳句作家・佐藤文香さん。先人が既に耕したことのある土地だとしても、今また自分が耕し直すことに意味があると信じて、俳句の制作を続けています。
季節の情景、日々のシーンがありありと浮かびあがる、美しく頼もしい言葉たち。550句と、句集制作ドキュメンタリー「菊雪日記」を収録した、日本語定型詩の新しい核をつくる一冊です。
みづうみの氷るすべてがそのからだ
好きな淋しさ鶺鴒は頷きながら
ほたるぶくろぼくたちのゆふがたはまだ
ゆめにゆめかさねうちけし菊は雪
「新しい夢に古い夢がいつも敗れるなら、もっとも新しいもの以外、すべての夢は死ぬ。奇術のごとく入れ替わる透明な景のうちに、菊は雪となり、雪もやがて消えるーー」(菊雪日記より)
発行:左右社
発行年:2021年
サイズ:A5判変形
ページ:188p